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東京台東区は谷中から石垣島へ。


by fuutaro58
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眼下の敵

今、1957年製作のアメリカ・西ドイツ映画、「眼下の敵」がBSプレミアムで上映されている。たぶん最初に見たのは‘70年前後、池袋の文芸座、もしくは新宿小田急ハルクの裏にあった新宿パレスのどちらかだと思う。このころはいずれの映画館でも3本立てで100円。渋谷にあった全線座ともども、予備校時代は毎週水曜日には(試験があって、午後からは休みだった)必ずいずれかに足を運んでいた。
それはともあれ、この映画が僕にとって忘れられないのは名優クルト・ユルゲンスとの最初の出会いであったこと、さらに、アメリカ映画でありがちな善玉アメリカ軍、悪玉ドイツ軍という公式?を打ち破り、さらにさらに、群像劇でありながら、駆逐艦(艦長ロバート・ミッチャム)対潜水艦=Uボート(艦長クルト・ユルゲンス)の知略を尽くし戦いであることだ。「命をかけたスポーツ」と言ったら言い過ぎか。ヨーロッパの騎士道精神をも窺わせるこの映画の作り方に魅了されたのだ。

# by fuutaro58 | 2017-05-22 14:23

べろべろの神様

昨日石垣は突然の激しい雷雨と竜巻に襲われた。幸いにも被害はなかったようだけれど、午後4時前から島にぴったりかぶさるような雷雲が2時間近くに渡って覆い、激しい稲光と雷鳴が連続、連れ合いの怖がるまいことか……。で、安心させるために寄り添って四方山話を始めた。そうこうするうち、何かのきっかけで僕の親父が酒席で、面白い俗謡のようなものを謡っていたことを思い出した。
「べろべろの~神様が、正直~な神様が……」

それは今から50数年以上前のことで当時私は小学生。親父は高校の教師をしており、教え子の卒業生がおりに触れて家を訪ねてくれていた。その時ではなかったかと思うのだけれど、普段しか爪らしい顔をして、とにかくおっかなかった彼がそのときばかりは満面の笑み、相好を崩しながら謡っていたのだ。で、この謡には振りが入る。割り箸を中ほどから折り曲げ、その一端を両掌で挟み、歌詞に合わせながら前後へと擦るのだ。そして謡が終わったとき、割り箸のもう一端が向いた先にいた人が杯を重ねることになる。
たぶん、田舎のごく一部の酒席で謡われていたものだとは思ったけれど、連れもひどく面白がって、ipを取り出して調べ始めた。するとどうだろう、この謡、元は京都のお座敷芸で、今でも土佐あたりのお座敷で盛んに? 謡われているとのこと。
私自身はあまり大人数の酒席というのは好きではなく、学生時代に一度か二度歌ったかどうか。
でも考えてみれば、この謡、意外に現代の酒席でも役に立ちそうに思って紹介してみることにしました。

# by fuutaro58 | 2015-07-28 16:26
ギリシャとユーロの関係、まだまだ予断は許さないけれど、この一連の騒動の中で、際立ったのがチプラス首相の舌を巻くほどのしたたかさ、有能さだ。ユーロからの緊縮財政要求と、ギリシャ国民の反緊縮策への渇望という板ばさみの中、今年の1月に首相に就任した彼は、ユーロからの要求を断固とした態度ではねつけて国民投票を実施、大方の予想を裏切って圧倒的多数の支持を取り付けると、今度は一転新たな改革案をユーロ側に提出、どうやらこれがユーロ側からも受けいられそうなのだ。つまり一見どうにもならないような二律背反的な状況を一挙にアウフヘーベン(止揚)してしまったのだ。
改めて彼の経歴を調べてみると、10代半ばでギリシャ共産党に入党、大学卒業後2006年アテネ市長選挙に立候補、落選したものの、2009年ギリシャ議会選挙に初当選。急進左派連合の党首となり、2012年の選挙では同党を一躍議会第2党に躍進させ、今年の選挙で「反財政緊縮策」を公約に掲げて見事第1党となり……。

アントニオ・バンデラス(スペインの俳優 別名赤の魔術師とも呼ばれる巨匠ペドロ・アルモドバルに見出され「神経衰弱ぎりぎりの女たち」でデビュー)、を彷彿とさせるような風貌と、エネルギッシュな行動力。聞けばチプラスさん、正式な結婚はしていないが、同棲相手の女性との間に子供が二人いて、そのうちの一人のミドルネームに彼の敬愛するキューバの革命家、エルネスト・チェ・ゲバラのエルネストをつけていられるとのこと。最近タバコをチェ・レッド(なんとルクセンブルグ産でキューバの葉を混ぜてある)に替えたばかりの僕にとっては胸くすぐられる思いがする(なんのこっちゃ)。

政治的な場で”歩み寄り”というと、妥協に妥協を重ねて、というイメージが圧倒的だけれど、こんなやり方もあるんだ、と思わせてもらえたのは近年にない収穫。ポピュリズムに陥らずに人々の心をがっしりとつかむ。その手法に拍手、拍手。

振り返ってみるに、今の一見救いがたいような日本の政治の現況は、民主党のあきれ返るほどの無知、無策、無責任にあるといってかまわないと思う。たとえば沖縄の辺野古の問題。民主党は県外移設を公約に掲げていたにもかかわらず、ふたを開けてみればその舌の根も乾かないうちに、「やっぱり無理でした」。それはないだろう。辺野古の問題のような100年先の未来をイメージするような課題を小手先の戦術で何とかしようとすれば無理があるに決まっているわけで、少なくとも具体的な形で普天間基地の行く先を提案するような努力を粘り強く続けるべきだったと思う。政治家をやめてから辺野古を訪れても遅いんだよ、鳩山さん。

台風一過のここ石垣。一見穏やかなコバルトグリーンの海にも、自衛隊の監視所が設けられるという。そして宮古ではそれを招致しようとする動きさえ。与那国に続いて石垣、宮古。少なくともそれが八重山の人々を守るためにあるのではないことだけは確かだ。八重山の皆さん、ちっぽけな経済効果の代償にヤマトの捨石にされてはならない。
# by fuutaro58 | 2015-07-11 15:27

行ってきます。

行ってきます。_e0167681_11331877.jpg去年の今日、石垣に引っ越してきました。で、これから記念に(?)小浜島のはいむるぶしに行ってきます。部屋はオーシャンビューで、ハンモックもあるらしいので、今日、明日、ゆっくり、のんびりしてきます。天気もこのとおり。
今年の梅雨は入って3日ほどはそれらしい天気でしたが、最後の夜、夜半に雷と大雨が降った後はほとんど雨らしい雨はなし。
もう梅雨明けと言ってもいいんじゃないかな、気象庁さん?
この1年間、いろいろありましたが、相方は無事就職。僕自身はというと、店のほうは、焦らずじっくり……、今は書くほうに少しずつ取り掛かり始めたところです。
ブログもできる限り更新して行こうと思っていますのでよろしく。
# by fuutaro58 | 2015-06-08 11:55

2014年最後の夏?

 人間は失敗する生き物である。*1 失敗を経験値として昇華し、その後の人生に生かすことが大切だ。*2 それを生かすことができないことを、愚かと呼ぶ。*3 しかしその愚かさこそが人間であるとも言える。

 11月28日東京から友人のGが来島。前日の大雨のお陰で、しばらく続いていた夜間断水も解除され、一息ついたところで8番街の居喰屋(居酒屋)『迷亭』で痛飲する。翌29日気温29度、快晴。Gがバスで拙宅までやってきて、3人で初ドライブに出発。最初の目的地は川平。このコースは以前自転車で途中までツーリングしたことがあるので、道に迷うことはない。ユイロード(県道39号)に入ってひたすらまっすぐ直進すれば良いのだ。予定どうりその?道を右折、『ホテルアビアンバナ』の前を通って直進する。
 車は市街地を抜け、畑が広がる田舎道を進んでいく。やがて牧草地に出て……。
 何か変だ。どんどん山の中に入っていく。ユイロードは途中海岸線に出て、海ノ中道を通り、川平に向かうはず。それが草ぼうぼうの舗装されていない道を突き進み、やがて、前に進む道が消えてしまったのだ。*1 
 不安というぞうり虫がいや増しに増殖していく、《航海、後悔、更改》。 何しろ運転手は少し紅葉の入った若葉マークのわが連れ合い。車はなるべく舗装されて広そうな道を探しながら右往左往。小生は冷静さを装いつつ「うんそのまままっすぐ進めば良いんじゃないかな」「そこはだめだ」「誰か人がいないかなあ~~」……。助手席のGは笑いをかみ殺していたらしいが、やがて大爆笑。
 そうこうするうち、【←バンナ公園】の標識を見つけた。「あっバンナだ。て、いうことはこのまままっすぐに行けば聖紫花橋に出るよ」。石垣ダムにかかるその橋を左に見つつバンナ公園北口を通り抜ける。《ということはこのまま道なりに行けば『やいまー村』に通じる名蔵に出るはず》*2 そうこうするうちに、やっとというか、何とかというのか、車はそれぞれの思いを乗せて川平に。《ハラホレヒレハレェ~》。

 車を『石垣シーサイドホテル』の駐車場に入れ、底地(すくち)ビーチに向かう。見渡せば広いビーチにホテルの客と思われる水着姿の若い男女が数名と監視員、それにわれわれを加えても10人ほどしか見当たらない。「先に海に入っているよ」というGを残してわれわれは水分補給にホテルに向かう。僕はオヤジらしく缶ビールを片手に海岸沿いに建てられた茅屋(→休憩所のような所で円形のカウンターがあり、オンシーズンには飲み物も出せるようになっている。)で一休み。
 しかしそれにしても泳いでいるはずのGの姿が見えない。水着姿の女性が連れ合いに、Gが海岸の右手にいたと話している。やがて監視員が心配してやってきて双眼鏡を覗いている。私はといえば、《もし何かあったら彼女の夫君になんと謝れば良いのか》などと益体もない妄想に駆られ、体を伸ばして水際から沖まで目を凝らしていた。
 「あっ!見えた」。監視員の声。案ずるより生むが安し、ではあるけれど、事前にもっと打ち合わせをしておくべきだったと反省。*1 そろそろ場所を変えようということで次の目的地米原キャンプ場に向かった。

2014年最後の夏?_e0167681_16455629.jpg 米原。キャンプ場と名がつくだけあってこの季節にも大きなテントが数張り。長期滞在らしく、簡易のテーブルなど、それなりの設備がしっかり設えられている。海岸に向かうと沖合いに白く大きな船が投錨中。どうやら海上保安庁の巡視船らしく、この海の先に尖閣列島があることをいやおうなく思い出させられる。西表の海岸沿いほどではないが、簡体字で書かれた空のペットボトルが数点。その中に『上海』の文字が。好戦派慎ちゃんの残滓がこんなところにも。
 僕は砂浜にブルーシートを敷いて、お留守番。女たち二人は嬉々として海へ。米原は底地以上に閑散としていて、母娘連れが一組とキャンパーらしい青年がひとり、水着姿の白人カップルが一組通りすがっただけだ。 「Hey!」彼らになんとなく声をかけ、聞くともなく聞くと、フランスからのツーリストらしい。かの国の第2(第3?)次ジャポニズムは本物のようだ。そんなこんなしながら、潮に流されて船体を左右に振る巡視船を眺め、潮騒を聞いているうちに二人が海から上がってきた。
 「うつぼに牙をむかれたよ」「ダツ(鬼カマス)が向かってきて怖くなって逃げた~」「こんな(手を広げて)ブダイがうろうろしていたよ」などキャッキャ言いながら喋り捲っている。僕はそろそろ行かなくちゃ、と二人を促し、最後の目的地『フォルスターレ・ウーノ』に向かった。

 語感からわかるようにそこはイタリアン・レストラン。森の隠れ家的なレストランらしく、実際、地図を見てもさっぱりわからない。目印らしいものは県道沿いにあるようなのだが、その先途中から道がなくなっているのだ。ともあれ出発。おしゃべりに夢中な女子二人の声を子守唄に転寝。気がつくと左手に平久保岬が見える。もう伊原間(いばるま)が目と鼻の先、慌てて取って返したのだが、今度は行き過ぎ、目印のひとつ公民館前で、じっくり検討、のろのろ車を走らせると、左手に小さなブルーの看板。一同歓声を上げて左折した。
 ところがやはり途中から未舗装の道に入ったり、舗装道に出たり悪路の連続。Gはわけのわからない地図に首っきりで、車が右折したところで、「ちょっと待って」。「今のところまっすぐだと思う」。
 彼女が言うところは一応轍があるが、土くれのてっぺんに親父の禿頭みたいに草がちょろっと生えているようなところ。「違うんじゃない?」と言ってみたものの、「いやここだと思う」というGの言葉に促されて、ハンドルを切ると、おおそこはサンクチュアリ。『フォレスターレ・ウーノ』の言葉に偽りのない、聖域がすくっと立っていた。「やったー」の歓声に応えるように「すみませ~ん」という奥さんらしき人の声。
 奥さん手作りの漆器の皿、グラスに盛られた料理や飲み物は文句なしの逸品だった。
 ギャラリーになっている2階の作品を見せてもらい、だんなさんにお話をお聞きしているうち、ふと気がつくと外は薄闇が忍び寄ってきていた。慌てて彼女たちを促し、勘定を済ませ、宵闇迫るラビリンスに飛び出した。禿頭を越えて車は右にハンドルを切る。「あれ、真っ直ぐじゃなかった?」。このとき、《一度店に戻って、ご主人に道を確かめたほうが良いんじゃないか?》、天の声が囁きかけたが、結局口には出さず、車は冥界に泳ぎ出してしまった*3。それから十数分、車は人ン家に嵌り込んだり、道といえないような場所に踏み込んだりと悪戦苦闘の連続。人家はあるのだけれど、灯りがついていず、道を尋ねようにも尋ねられない。《本物の負暗、婦庵、不安》に駆られ始めたとき、前方に人の影。慌てて近づいて「すいませ~ん。道に迷っちゃって」と、声をかけた。おじい「どこにいくんさー」、「県道に出たいのですぅ~」、「すぐそこさ~」。
 わずか数秒で県道へ。《しっかしあのおじい、年喰ったキジムナーかなぁ~》なんて思いつつ伊原間から我が家へと漆黒の闇の中、車を走らせたのだ。
 「しっかし、面白かったねぇ」とはGの声。「もう大丈夫だからねぇ~」とは連れ合い。おいらは《何言ってやんでぇ》と心で嘯きつつ、思うのは今日来るはずの荷、『山崎シングルモルト リミテッド エディション』と『バランタイン17年グレントファーズエディション』のことばかり。

 実はこの原稿を書いている今は12月2日。でも、初校? を書いたのは昨日。なんとこの量ばっさり消してしまったのです。*1*2*3
# by fuutaro58 | 2014-12-03 21:38